吾輩は記事である

 吾輩は記事である。名前はまだない。

 どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗い静かな所でカタカタ音がしていた事だけは記憶している。吾輩はこれまで人間というものを見たことがない。画像検索なるものは知っているが、主人は人間などという言葉で検索してくれないのでどれが人間なのか我輩にはわからぬ。その上吾輩の主人は書生という人間中で一番邪悪な種族なのではないかと思う。この書生というのは日々我々をこき使うという話である。しかしこれまでは何という考えもなかったから別段恐ろしいとも思わなかった。ただ彼の指先がトントンと我輩をつつく時何だか得も言われぬ心地よさがあるばかりである。

 どうやら主人がブログなるものを始めるらしい。吾輩はブログと知り合いではないが、遠い親戚のように感じる。なんであれ、日々トントンが続くことを願う。